研究実績の概要 |
昨年度研究した,齢構造を含む病原体ダイナミクスの研究をまとめた論文は, 改訂作業を行なった結果,Journal of Applied Mathematics and Computing 59 (2019) に掲載された. 齢構造を含む,病原体ダイナミクスモデルに対する前年度の結果を用いて,更にウイルスが複数株存在する状況を記述する数理モデルの解析を行なった. 齢構造を持つので, 昨年度の研究と同じようにリアプノフ関数を構成しても すぐに安定性が証明出来る訳ではなく.アトラクタを用いた議論を精密に行なう必要もあるが, 更に株が複数存在する数理モデルにおいては, 平衡点がたくさん存在し, 議論も非常に複雑になる. この点を克服し,この数理モデルに対して, 株の基本生産数に対応する量が大きい株が幾つか存在するような平衡点が大域漸近安定である事を証明した. 空間拡散を考慮したウイルスダイナミクスの研究では,Nowak and Bangham の基本モデル (未感染細胞,感染細胞,ウイルスの相互作用を記述した数理モデル) に液性免疫や細胞性免疫の変数を追加したモデルの解析を行なった. 昨年度の研究では液性免疫変数または細胞性免疫変数の一方を取り入れたモデルの解析においては,基本モデルの解析では現れなかった問題点が見つかったが, この点を解決した. 更に, 空間拡散モデルで複数のウイルス株を考慮した数理モデルの解析に対する準備がある程度整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
齢構造を含む病原体ダイナミクスの研究をまとめた論文が, 改訂作業を行なった結果,Journal of Applied Mathematics and Computing 59 (2019) に掲載された. 齢構造を含み,更にウイルスが複数株存在する状況を記述する数理モデルの解析においては, 平衡点がたくさん存在し, 議論が非常に複雑になる点を克服し,それぞれの株の基本生産数に対応する量が大きい株が幾つか存在するような平衡点が大域漸近安定である事を証明した. 空間拡散を考慮したウイルスダイナミクスの研究では,液性免疫変数または細胞性免疫変数の一方を取り入れたモデルの解析における問題点を解決し, 更に, 空間拡散モデルで複数のウイルス株を考慮した数理モデルの解析に関する準備がある程度整った.
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