研究課題/領域番号 |
17K05371
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松岡 千博 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10270266)
|
研究分担者 |
西原 功修 大阪大学, レーザー科学研究所, 名誉教授 (40107131)
平出 耕一 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (50181136)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | vortex sheet / bulk point vortices / interaction |
研究実績の概要 |
これまでは界面の運動のみに着目して系の時間発展を研究してきたが,現実のプラズマ現象や実験,特に本研究の中心テーマである,リヒトマイヤー・メシュコフ不安定性 (RMI) においては,界面とバルク渦との相互作用が無視できない場合があることがわかってきた.RMIのみならず、一般に界面とバルク渦との相互作用は海洋・大気乱流等の分野でも重要な事象であるが,バルク渦の影響を考慮しながら界面運動を精度よく計算することは難しいため,理論的な研究があまり行われてこなかった. 本研究の代表者はこれまで,RMIの界面を渦層近似してその運動を精度よく計算できる数理モデルの構築に成功している.この年度では,これをバルクに生じる渦との相互作用が計算できるように拡張し,界面とバルクとのエネルギーの流れや,バルク渦が界面に与える影響等を詳しく調べた.この研究は当初の目標には入っていないが,界面運動の拡張として,次年度あるいは将来的な研究テーマとして継続していきたいトピックである.界面とバルク渦の相互作用に関する研究は,上述の海洋・大気乱流等の分野以外に,宇宙物理(超新星爆発),慣性核融合(inertial confinement fusion: ICF)の制御等においても重要である. 今年度はこの研究の初年度だったので,磁場のない界面とバルク渦の相互作用を計算するための支配方程式の導出や,数理モデルの構築といったformulation(定式化)をメインに論文を上梓した.その中で,不安定界面(非一様渦層)とバルクにできる点渦どうしの非線形相互作用が詳しく調べられ,バルク渦が界面に近づくと,界面の渦度が大きく変化して,バルク渦がないときに比べ,界面不安定性が急激に生じ,界面の渦度の増大も大きくなるという結果が報告されている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁気流体の研究に関しては,複数の国際会議や研究集会で招待講演を行い,新しい研究チームもたちあげることができた.また,流体・プラズマにおいて国際的に権威のある複数の雑誌から,界面に関する特集号での記事の執筆依頼を受けており,2020年度中にこれらの論文を上梓する予定である.また,これまでの研究を拡張し,「研究実績の概要」で述べたように,界面(渦層)とバルクに生じる点渦との相互作用の研究にも着手できた.この研究は,本研究テーマ終了後(次年度以降)にとりかかろうと思っていたトピックであるが,前倒しのかたちではじめることができた.ただし,まだ磁場を入れることには成功していない.今後は磁気流体に拡張して,界面とバルク渦の相互作用の研究を発展させていきたいと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,「現在までの進捗状況」でも述べた,界面とバルク渦との相互作用の研究を発展させていきたいと考えている.2019年度はその理論的定式化が主な仕事だったが, 将来的には磁場を入れたり,離散的なバルク渦を界面のような大規模渦構造に拡張して,界面ー界面相互作用や,次元を拡張して,最近話題となっている,双子の竜巻等の大規模気象現象にも拡張していきたいと考えている.この年度は,論文のほか,複数の国際会議等で招待講演を行って成果を発表することもできたので,研究はおおむね順調に推移しているといえる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度の交付金だけでは、予定していたワークステーション等の物品およびソフトウェアの購入が足りそうもないため、繰り越しを行った.
|