研究課題/領域番号 |
17K05372
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
高阪 史明 東海大学, 理学部, 教授 (20434003)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 凸関数 / 測地距離空間 / CAT(1)空間 / 近接点法 / 最小点近似 / 不動点近似 / 共通不動点 / ヒルベルト空間 |
研究実績の概要 |
今年度は測地距離空間やヒルベルト空間における変分問題と不動点問題の相互関連についての研究を行い、最小化問題や共通不動点問題の解の近似列の漸近挙動に関する成果を得た。 近接点法は極大単調作用素の零点を近似する方法の一つである。最近になり、測地線の構造を有する距離空間における凸解析学の研究が注目されている。特に、2013年にBacakはアダマール空間 (完備CAT(0)空間) における凸関数のリゾルベントを用いた近接点法の漸近挙動に関する研究を行い、ヒルベルト空間における近接点法の収束定理をより一般の測地距離空間に一般化することに成功した。 今年度の研究では、アダマール空間の一般化である完備CAT(1)空間における凸関数に対する二種類の最小点近似列を定義し、それらの漸近挙動を通して最小点の存在定理と最小点への収束定理を得た。これらの最小点近似列の定義においては、2016年にKimuraとKohsakaが導入した凸関数のリゾルベントを用いた。 また、ヒルベルト空間における二つの可換なハイブリッド写像の共通不動点問題に関して得られた収束定理に関する研究成果を解説する論文を発表した。ヒルベルト空間における閉凸集合上への距離射影や凸関数のリゾルベントはハイブリッド写像の典型的な例であるため、そのような写像に対する不動点問題の研究は制約可能性問題や最小化問題と関連する。今回の成果では、二つの写像に対するチェザロ平均を用いて定義される近似列についての収束定理を得た。 国内外で開催された研究集会や学術会議においてこれらの成果およびこれまでの一連の研究成果についての研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測地距離空間やヒルベルト空間における変分問題と不動点問題の相互関連に着目した上で、それぞれの問題の解の存在性や解の構成方法についての研究を行った。これらの成果を基礎とし、次年度以降の研究をさらに進めて行く。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、測地距離空間における双対空間や単調作用素の研究を行うとともに、最小化問題、変分不等式問題、均衡問題などの変分問題との相互関連を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも物品費及び旅費の支出を抑えることができたため。次年度の研究において必要となる物品費又は旅費の一部として使用する予定である。
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