期間延長の理由とした査読付き雑誌に投稿中であった論文が無事出版された。これはKortewegが1901年の論文で提案した構成方程式を完全な形で含み、かつ熱力学的に整合したモデルを提案するものである。熱力学的に整合したKorteweg型流体の定式化は Dunn and Serrin (1985) によるものが著名であるが、それにはKortewegの構成方程式に現れる二次の密度勾配の項は含まれていなかった。Dunn and Serrin は Coleman and Noll (1963) が提案した極めて一般的な手順によって熱力学的に整合するモデルの導出を行ったが、本研究ではPoisson括弧と散逸括弧によるGENERICと呼ばれる構造をもつ系に限定することによって、比較的単純な手順によって熱力学的に整合するモデルを導出している。このGENERICと呼ばれる非平衡熱力学の枠組みは Grmela and Ottinger (1997) によって提案されたものである。Dunn and Serrin によって提唱された(熱力学と整合するモデルに必須とされる)interstitial working と呼ばれる項は、このGENERICの枠組みにおいても自然に現れ、特にKoretwegの構成方程式を完全に含む場合に対しては、本研究によって初めてその具体的な形が示された。 また非圧縮流れに対する構造保存型数値解法の研究成果を南部括弧を用いた形に整理し、南部力学に関する研究会に参加して講演を行った。
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