研究課題/領域番号 |
17K05377
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
山崎 和俊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50554937)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | レヴィー過程 / 変動理論 / 保険数学 |
研究実績の概要 |
(1) “Mixed periodic-classical barrier strategies for Levy risk processes” (J.L. Perez氏との共著) で得られた結果を用い、保険での動的最適化への応用を行った。最適配当問題において、配当機会が独立なポワソン過程のジャンプ時刻にのみ訪れる場合を考え、資本注入がある場合とない場合それぞれについて最適解を求めた(野場啓氏、矢野孝次氏、J.L. Perez氏との共同研究)。 (2) レヴィー過程の屈折過程の一般化として、屈折点が複数ある場合を考えその変動理論(レゾルベント、退出問題等)を求めた(I. Czarna氏、T. Rolski氏、J.L. Perez氏との共同研究)。またその応用として、余剰資金が上向きジャンプのレヴィー過程の場合の最適配当問題において、二つの絶対連続な戦略の最適な組み合わせを求めた(I. Czarna氏、J.L. Perez氏との共同研究)。 (3) 最適配当問題において、戦略が絶対連続でかつ戦略集合に破産時刻に関する制限を加えた場合を考察した。上向きジャンプのレヴィー過程と下向きジャンプのレヴィー過程の場合それぞれについて、最適戦略を求めた(M. Junca氏, H. Moreno-Franco氏, J.L. Perez氏との共同研究)。 (4) ポワソン過程のジャンプ時刻にのみ行使可能なアメリカ型オプションを考えた。プットオプション、コールオプションそれぞれについて、最適解が閾値戦略であることを示し、特にジャンプが片側のみのレヴィー過程については解析的な解を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1) 下向きジャンプのみのレヴィー過程のパリジャン反射に関しては、スケール関数の一般化を用いることで、通常のレヴィー過程の場合と同様に変動理論が得られることがわかった。変動理論を解析的な形で表すことにより、保険数学での応用を行うことができ、野場啓氏、矢野孝次氏、J.L. Perez氏との共著の“On optimal periodic dividend strategies for Levy risk processes”はInsurance: Mathematics and Economicsに掲載された。 (2) ポワソン過程のジャンプ時刻にのみ行使可能なアメリカ型オプションに関する研究においては、“American options under periodic exercise opportunities”にまとめ、Statistics and Probability Letterに掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 両方向にジャンプがある場合のパリジャン反射の研究を行う。まず、ジャンプが指数分布を持つ場合を考え、その場合の変動理論を求める。 (2) パリジャン反射過程のレゾルベントを求め、その応用を行う。ポワソン的観測下での最適在庫問題を考え、その場合のパリジャン反射の最適性の十分条件を求める。 (3) パリジャン反射のレートがそのプロセスの空間的位置に依存する場合を考え、その場合の反射過程の変動理論を求める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究者を招聘したものの、招聘研究者本人の研究費を使うことになり、その分の支出がなくなり次年度使用額が生じた。来年度に再度その研究者を招く予定をしておりその際にその分は使用する。翌年度分として請求した助成金については当初の計画通り使用する。
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