研究実績の概要 |
まず、Takahashi, Yoshida, Umeda (2018, ApJ)の論文では回転する第一世代星のうち、質量が大量の200倍程度でペア不安定型超新星となるものの恒星進化と爆発および元素合成の計算を行った。これによって第一世代星の中に含まれていると一般に考えられているが、その証拠が未だに見つかっていないペア不安定型超新星の性質や親星の回転の効果を明らかにした。本科研費の研究課題の主目的はもっと重い1万~数十万太陽質量星の進化と運命であるが、それらの計算結果の信頼性をあげるためにも、他の研究グループでも類似の計算が行われているペア不安定型超新星の親星計算を行ったことは、比較という観点においても意義のあることであると考えている。 Takahashi他(2019, ApJ)の論文では電子捕獲型超新星の親星進化計算とともに流体力学的な爆発計算も行い、電子捕獲型超新星の爆発初期の様子を詳しく計算し、そのような爆発が実際に起きることを、他の研究グループの計算とは独立に示した。ここで用いた計算コードは1次元の一般相対論的な流体力学を計算するものであるが、オリジナルなコードに原子核反応ネットワークを新たに組み込んだもので、本科研費の研究課題で行う重力崩壊計算を実行できるものである。 Zaizen, Yoshida, Sumiyoshi, Umeda (2018, PhRvD)の論文ではブラックホールを形成するような大質量星の重力崩壊に伴うニュートリに対する集団効果を含むニュートリ振動計算を行った。この計算の成功を踏まえて、本研究課題における超大質量星の崩壊計算時にも、大量に放出されるニュートリノの振動計算を行うという着想を新たに得ている。
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