研究課題/領域番号 |
17K05390
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋一 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70332757)
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研究分担者 |
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 星惑星形成 / 光学赤外線天文学 |
研究実績の概要 |
東京大学の研究グループが整備した「銀河面付近に存在する変光星カタログ」を精査し、不規則に明るさが変動する天体をリストアップした。我々の今までの研究から「不規則変光星の中でも近赤外線に超過を示す天体はバルマーアルファー線の輝線を持ち、前主系列星である可能性が非常に高い」ということがわかっている。そこで、リストアップした天体の近赤外線での等級を2MASSカタログなどで調べ、一部の天域で前主系列星の可能性が非常に高い天体を同定した。 西はりま天文台「なゆた望遠鏡」の可視光分光器MALLSの高分散分光モードの開発は、進捗が予定よりも少し遅れている。これは、高分散分光観測に精通している外部研究者から提案された、光学素子の新たな配置方法について検討したためである。この新たな方法を使えば光学素子を一つ少なくすることができるので、観測装置の効率が上昇することが見込まれる。一方で、既存の中低分散分光モードが使えなくなることがわかった。そこで、将来の他の観測装置の開発やアップグレードの見通しを整理した。その結果、引き続きMALLSが中低分散分光モードを維持することが望ましいとの結論に至った。このため、光学素子の元来の配置方法に戻り光学設計を行った。概念設計が終了し、計画通りにクロスディスパーザーを購入した。またクロスディスパーザーの保持マウントも購入した。CCD容器は熱パスの形状に工夫を施すことにより、「CCD素子マウント部でマイナス100度」という目標を達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外部研究者から、可視光分光器の高分散分光モードについて光学素子の新しい配置方法が提案された。その利点と欠点を精査するという、当初予期していないことが起きたために、進捗はやや遅れている状況である。しかしながら、概念設計が完成し光学素子などは予定通りに購入できたため、この遅れは研究期間の間に取り戻せるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
前主系列星の探査は、可能性の高い候補天体から可視光分光観測を進め、バルマーアルファー線の輝線の有無を確認する。可視光分光器MALLSの高分散分光観測の開発については、光学素子保持部品やモーター駆動部などを含めた詳細設計を可能な限り迅速に行い、早期の完成を目指す。MALLSに取り付けるCCD検出器についても、国立天文台と共同で駆動・読み出し回路を製作し、1チップでの運用を早期に目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
光学保持部品の設計などを外部業者に委託することなく、機関内のスタッフで設計をすることができたため次年度使用額が生じた。次年度には設計した光学保持部品などを特注品として製作する予定である。
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