研究課題/領域番号 |
17K05390
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋一 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70332757)
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研究分担者 |
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 星惑星形成 |
研究実績の概要 |
東京大学木曽観測所が実施した可視光域での「変光天体の銀河面探査」のデータベースを用いて、変光を示す天体を探査した。調査領域は、いっかくじゅう座の星形成領域NGC2264を含む一平方度である。 その結果、これまでは一般的な恒星と思われ、何の特徴も見られない天体において、有意な光度変化を発見した。変光は周期的に変光するものもあれば不規則に変動するものもあった。このような天体は探査領域で約40個もある。 これらの天体は比較的明るい。NGC2264に付随するのであれば、中質量で主系列に近いもしくは主系列に達した若い恒星である可能性がある。また、これらの天体は近赤外線に超過を示すことから、周囲に原始惑星系円盤またはデブリ円盤を伴うことが考えられる。従って、ポストTタウリ型星であるか、ハービックAe/Be型星、もしくはベガ型星である可能性が高い。 今後は、西はりま天文台の「なゆた望遠鏡」の可視光分光器MALLSまたはWFGS2を用いて、これらの天体の可視光分光観測を行う。若い天体に特有のHα輝線や、リチウムの吸収線が存在することを確認する。そして、他の金属吸収線の強さなどから光球の温度と表面重力を求め、天体の質量と年齢を推定する。また、複数の吸収線の等価幅から、ベーリング量を算出することにより、周囲の円盤からの質量降着の状態を明らかにする。さらに吸収線の半値幅から光球の自転速度を求め、規則的な変光を示す天体についてはその変光が光球の自転によって生じたものかを議論する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
孤立して誕生した恒星を探査する方法を応用して、今まで知られていた星形成領域を調査した。その結果、今まで若い天体であると認識されてこなかった天体が、変光を示すことが明らかになった。この結果は、研究を計画した当初には想定していなかったものであるが、新たな種類の若い天体を見つけたことになる。
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今後の研究の推進方策 |
集団で生まれた星にもかかわらず今までの手法では見逃されていた天体を、同じ手法で発見できる可能性が開けた。そこで今後も、孤立して誕生する前主系列星の調査を継続するとともに、前主系列星候補天体の可視光分光観測を重点的に行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品や旅費の一部を他の外部資金から支出したため、次年度使用額が生じた。今年度に得られた研究結果を確認する追観測を行い、また、その成果を発表するため、次年度には複数回の海外主張を予定している。
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