研究実績の概要 |
恒星フレアは規模が大きいほど発生頻度が小さいが、全天X線監視装置MAXIは90 分に1 度全天を監視し、無バイアスに効率良く恒星からの巨大X線フレアを捉える。今年度は、MAXI/GSCで検出した、高い銀緯(10度以上)にある天体のカタログを作成した。これは2009年8月から2016年7月までのデータを用いている。これにより感度は0.48 mCrabまでに至り、かつて同じ領域で作られたMAXI/GSCカタログ(Hiroi et al.2013)に比べ天体数は1.4倍に増えた。 また、ALMA, JVLA, Chandra, Herschel, and Spitzer という多波長にまたがるデータ群を用いて、2つのへびつかい座の点源が極めて若い原始星または原始褐色矮星段階にあることを確認した。それらの天体の質量は現在、太陽質量の0.01-0.03倍であり極めて小さい。また年齢は、アウトフローの運動学的年齢から考えて1000歳程度かそれ未満と考えられる。これらは比較的近い将来質量降着を終えそのまま褐色矮星に成長するか、またはさらに進化を続け恒星に成長すると考えられる。 フレアループの幾何をひもとく将来の開発機器として、湾曲させた結晶のブラッグ反射を用いた、X線偏光に感度の高い検出器の開発を行った。2018年度は、特に、反射鏡の母型の切削ピッチを細かくした反射鏡の性能評価を行なったが、角度分解能が従来に比べファクター分向上し、またそれに応じて、エネルギー分解能が向上したことを確認した。
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