研究課題/領域番号 |
17K05394
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
松本 倫明 法政大学, 人間環境学部, 教授 (60308004)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 原始連星 / 周連星円盤 / MHD / AMR / 数値計算法 / アウトフロー / 星形成 |
研究実績の概要 |
今年度の研究業績は以下の3点である。 (1) 原始連星の周りの周連星円盤の論文を出版した。論文ではガスの温度、連星の質量比、降着ガスの角運動量の3個のパラーメータを設定し、広いパラメータ空間を調べた。典型的に連星が100周する長時間を追跡し、さらにfixed mesh refinement 法を用いて高解像で大規模な計算を行った。その結果、連星からの重力トルクを受けて、連星円盤に非対称性な構造が現れるメカニズムを明らかにした。また非対称性な円盤には大局的な渦が発生していることも確認された。今回明らかになったメカニズムは、ALMA望遠鏡などで観測される非対称性な連星円盤を説明すると考えられる。 (2) 新しいMHDスキーム Boris-HLLD 法を開発し、論文として出版した。MHDシミュレーションでは、極端に低い密度領域が現れると、アルフヴェン速度が増加し、タイムステップが極端に短くなる問題が頻繁に発生する。この問題を回避するためにBorisのアルフヴェン速度低下法と呼ばれる方法が用いられてきた。この方法は昔ながらの低分解能スキームに実装されていたため、現代的な高解像スキームへの実装が望まれていた。そこで我々は高解像スキームであるHLLD法にBorisのアルフヴェン速度低下法を実装した。論文では広いパラメータ空間に渡ってスキームの安定性を調べ、非定常問題への適用例を示した。 (3) 上記のBoris-HLLD法を用いて、周連星円盤の問題に磁場を考慮したMHDシミュレーションを開始した。MHDシミュレーションでは、連星各々の星周連星から2本のアウトフローが放出される様子が再現された。また磁場による角運動量輸送によって周連星円盤が広がる様子も確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Bois-HLLD法の開発は当初の計画では予定されていなかったが、この方法が開発されたことによって、周連星円盤のMHDシミュレーションが大きく進展した。
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今後の研究の推進方策 |
周連星円盤のMHDシミュレーションを続ける。シンク粒子法における磁場の取り扱いについて改良の余地があることが明らかになったので、シンク粒子法の改良も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していたデータ量が少なくハードディスクの購入量が少なかった。翌年度はハードディスクを購入する予定である。
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