研究課題
太陽圏最大の爆発である太陽フレアでは、ミリ秒から秒の時間スケールでMeV レベルのエネルギーを持つまでに粒子が加速されている。この加速された粒子は、宇宙空間に人類が進出している現在、重大なリスクの一つとなっている。一方、太陽フレアにおける粒子加速の理解は遅々として進んでいない。最大の理由は、理解が進んだ太陽フレアの磁場構造の中で、粒子加速の現場(加速領域)が特定できていないことにある。本研究の目的は、ALMAによる電波観測にて加速領域が太陽フレアのどの磁場構造に付随しているかを明らかにすることである。ALMA太陽観測は、2015年までの試験観測期間をへて、2016年12月から科学的観測を開始した。ALMAのような高空間分解能を有するミリ波・サブミリ波電波干渉計による太陽観測はこれまで例がなく、科学的価値のあるデータを創出するためには、観測・データ較正・像合成を太陽観測用に最適化することが必要である。昨年度までに観測・データ較正・像合成を太陽観測用に最適化を行ってきたが、像合成ソフトウェアのバグが2018年10月16日にALMA観測所側から発表され*、昨年度の最適化作業を再度行うことになった。そのため全体のスケジュールは遅れ気味になったが、その中でも共同研究において2本の査読論文を出版することができた。また、2019年1 月にはALMA太陽データ解析に特化したワークショップを開催できた。*https://almascience.nao.ac.jp/news/public-announcement-of-casa-imaging-issues-affecting-some-alma-products
3: やや遅れている
研究実績の概要にて述べた通り、像合成ソフトウェアのバグにより、昨年度行ってきた最適化作業の結果が再度行う必要となった。その結果、以前より高品質の太陽ミリ波画像の合成に成功した。この高画質のALMA ミリ波太陽画像データを基にワークショップ*を開催し、いくつかの共同研究を開始することができた。* https://hinode.nao.ac.jp/user/shimojo/ALMA_WS_Solar_HP/Tokyo_2019.html
一年遅れだが、観測・データ較正・像合成を太陽観測用に最適化が終了し、ワークショップを基にした共同研究の成果が出始めている。本課題最終年度の2019年度は、これらの論文化および発表に注力する予定である。
12月中旬に購入を申し込んだ物品が、当該品の品薄により3月末までに納入できない可能性があった。そのため当該年度での購入をキャンセルし、次年度の購入としたため。
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 613 ページ: A17~A17
10.1051/0004-6361/201730656
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巻: 863 ページ: 96~96
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https://hinode.nao.ac.jp/user/shimojo/ALMA_WS_Solar_HP/Tokyo_2019.html