太陽圏最大の爆発である太陽フレアでは、ミリ秒から秒の時間スケールでMeV レベルのエネルギーを持つまでに粒子が加速されている。本研究の目的は、ALMAや野辺山強度偏波計による太陽電波観測にて加速領域が太陽フレアのどの磁場構造に付随しているかを明らかにすることである。昨年度(2018年度)までにALMA太陽観測データの較正・像合成・解析方法を開発した。その成果をもとに、2019年1月にALMA太陽データ解析に特化した日本国内の太陽研究者を対象としたワークショップ(ALMA-SOL-CDAW2019)を開催した。このワークショップにて、ALMAによって太陽大気下層の彩層のジェット現象であるスピキュールが観測されている事が明らかとなった。今年度はこのデータを解析し、ミリ波において世界で初めて、スピキュールを空間分解しつつ温度・密度の推定を成功させた。この成果は、2020年1月にAstrophysical Journal Letter誌に掲載されている。また、米国国立太陽観測所のCliver氏と野辺山偏波強度計のデータを基に、フィラメント消失現象における粒子加速の研究を行なった。この成果も、2019年5月にAstrophysical Journal誌に掲載されている。この野辺山偏波強度計による粒子加速の研究を今後も継続する為、アンテナ制御システム用センサーの一部の再作成・交換を行い、科学運用の延長に寄与した。
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