本研究は、超長基線電波干渉計VLBIネットワークVERA、日韓VLBIネットワークKaVA、東アジアVLBIネットワーEAVN、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAなどを用いた国際共同研究により、水メーザーやメタノールメーザーの時間変動現象と大質量原始星への質量降着現象の総合的な理解を目指している。 2020年1月に終了したKaVAによるメーザー天体大規模探査とALMAのデータと合わせた研究を推進し、現在1本の論文を投稿中、1本の大学院生の修士論文が査読付き雑誌への投稿準備中となっている。また、本研究代表者が発起人の1人となって本研究初年度2017年に立ち上げた国際研究ネットワーク"Maser Monitoring Organization (M2O)"では、2019年9月にG24.33という大質量星でメタノールメーザーの増光を確認しているが、これに対するALMA所長裁量時間観測が採択され、解析結果を本研究代表者が査読論文として現在投稿中となっている。G24.33におけるミリ波帯メタノール分子輝線の増光が最大でも30%程度と予想よりも小さく、その解釈について議論が進められている。この天体については、センチ波帯でも特異なメーザー増光が観測されており、その成果も共著の査読論文として発表されている。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本研究期間中に計画していた研究会や国際会議は開催されなかったものの、これまでの本研究代表者が主導するM2Oによる国際共同研究の実績などを踏まえ、2023年3月に鹿児島県で国際天文学連合IAU主催のメーザーに関する研究会を誘致することが決まった。このために、本研究代表者が実行委員会共同議長となって、IAUへの会議開催の提案書を本年度2021年12月に提出した。
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