自然界に存在する4つの力(電磁力、弱い力、強い力、重力)のうち、重力だけは量子論的な取り扱いができていない。この問題を解決する糸口として、素粒子の構造を紐にした超弦理論が有力視されている。本研究課題では超弦理論の量子補正効果を取り入れた有効理論をもとに、ブラックホールの性質や初期宇宙の性質を理論的に考察した。ブラックホールに関しては内部に紐とD粒子(荷電粒子)の束縛状態が形成されると仮定し、遠方の観測者からはブラックホールの重力ポテンシャルを観測されることを示した。初期宇宙においては、超弦理論の量子重力効果によって空間が加速的膨張される解が存在することを示し、宇宙の揺らぎについて考察した。
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