研究課題/領域番号 |
17K05408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大川 祐司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10466823)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 弦の場の理論 |
研究実績の概要 |
弦理論の非摂動な定式化へのひとつのアプローチである弦の場の理論の研究において、弦理論をフェルミオンも記述できるように改良した超弦理論に対して超弦の場の理論を構成しようとしたときに、フェルミオンを記述する部分の作用が構成できないことが約30年間に渡る大きな障害になっていたが、平成27年度に京都大学の国友氏との共同研究で開発した手法および Sen によって開発された手法の2つの方法でこの問題が解決され、その後、超弦の場の理論の重要な進展が続いている。 しかし、超弦の場の理論のより本質的な進展のためには、ゲージ不変性と超リーマン面の超モジュライ空間との関係の理解が鍵になると考えられる。このような動機に基づき、米国プリンストン高等研究所の研究員である大森氏との共同研究により超リーマン面の超モジュライ空間の分割に基づく開いた超弦の場の理論の構成法を開発し、ボソンを記述する弦の場の4次までの相互作用を具体的に構成した。 また、国友氏との共同研究で開発した手法と Sen によって開発された手法の関係を理解することも重要であるが、これは超リーマン面の超モジュライ空間のフェルミオン的なモジュライの取り扱いに関係している。このことは、より扱いが簡単なボソン的なモジュライも2通りの方法で取り扱うことができることを示唆していて、そのようなボソン的なモジュライの代表的な例は閉弦の場に対する level-matching 条件と関係している。このような動機に基づき、私が指導教員を担当している修士課程の大学院生である坂口氏との共同研究で、余計な自由な場を導入することにより閉弦の場に対して level-matching 条件を課さずに閉弦の場の理論を構成することに成功し、論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究環境の変化の影響で、研究自体は何とか進展しているものの、論文の執筆は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の遅れの原因となった研究環境の変化への対応はほぼ完了している。今年度のインドの Harish-Chandra 研究所への出張の際の Sen との議論は大変有益であったため、来年度以降も Sen との議論を続けることで研究を進めて行く計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究を行なっている海外の研究者と海外出張の旅費の分担について相談していたが、先方の今年度の財源に変更があり、今年度に関しては先方が予定よりも多く負担することになり、来年度はこちらが予定よりも多く負担することになった。次年度使用額は来年度の海外出張の旅費に使用する予定である。
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