研究課題/領域番号 |
17K05408
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大川 祐司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10466823)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 弦の場の理論 |
研究実績の概要 |
昨年度に大学院生の光山氏と学部学生の鈴木氏と行った開いたボソニックな弦の場の理論のゲージ不変演算子の相関関数の低エネルギーでの振る舞いに関する共同研究を発展させるために、2020年6月に開催されたオンライン国際研究会 "2020 Workshop on String Field Theory and Related Aspects" で研究成果の発表をした。その研究会で我々とは異なる研究目的で研究を進めている別の研究グループが我々と同じ研究成果を得ていることが分かり、その研究グループと協議の上、関連する部分については暫定的に研究成果をまとめてその研究グループと同時に arXiv に投稿した。
この共同研究ではホモトピー代数と呼ばれる数学が重要な役割を果たしているが、場の量子論や弦の場の理論へのこれまでとは異なる応用が近年急速に進展しており、2021年3月に開催された国際研究会 "Homotopy Algebra of Quantum Field Theory and Its Application" で研究成果の発表をした。この研究会に参加した結果、当研究課題を遂行する上での大きな障害となっていた技術的な困難を克服できる可能性がある研究成果の存在が分かったため、来年度の研究に組み込んでいきたい。
我々の共同研究は学部学生の卒業研究を出発点にしているということもあり、ホモトピー代数に関して全く予備知識のない物理の研究者にも容易に理解できることを目指して論文を執筆しているが、暫定的にまとめて arXiv に投稿したものでは一部で先行研究の知識を仮定していたので、その必要がないように加筆し、またホモトピー代数の扱いに完全を期すために慎重に論文の推敲を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、オンライン授業への移行やオンライン試験の実施などに対応するため今年度に私が担当していた大学運営業務の内容が例年よりも大幅に増加し、研究時間を大幅に削減させざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に担当していた大学運営業務の任期は今年度末で終了するということもあり、来年度は今年度のように研究時間を削減させなければならない状況にはならないと考えている。誰とどのような議論を行えば研究の次のステップに進めるかについては今年度に参加した研究会で十分に情報収集することができたが、オンライン開催での研究会ではこれまでのように研究会の参加者との議論を発展させることができなかったため、来年度も状況が一気に改善するということにはならないという場合に備えて、オンラインでの研究会の開催・参加以外の研究者との議論の機会を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブラジルで開催される予定であった国際研究会がオンライン開催になったため、予定していた外国旅費を使用しなかった。また、京都大学基礎物理学研究所で開催された研究会に関しても、直前まで現地に出張して参加できるかどうかを検討していたが、結局、オンライン参加ということにしたため、国内旅費も使用しなかった。これらの研究会にオンライン参加した結果として、研究会で十分に議論を発展させることができなかったため、来年度に開催される研究会に参加するために旅費を計上する。
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