研究実績の概要 |
レプトンフレーバーに依存するU(1)対称性を課し、荷電レプトンの各世代に結合するヒッグス2重項を3個導入することによって、荷電レプトンの質量階層性を説明できる模型を提唱した。このU(1)対称性を電荷+1だけソフトに破ることにより、ヒッグスの真空期待値に階層性が生じ、荷電レプトンの質量階層性が自然に説明できる。この模型では、電子とμ粒子に結合するヒッグス粒子が異なるため、別々のヒッグス粒子が電子とμ粒子の異常磁気能率へ寄与する。この模型では、μ粒子の異常磁気能率実験の標準模型からのずれを2σで説明できるが、電子の磁気磁気能率実験の標準模型からのずれは2σで説明できないことを示した。 また、「neutrinophilic Higgs + seesaw model」と呼ばれる、右巻きニュートリノが、微小な真空期待値を持つ新たなヒッグス場とのみ結合し、かつマヨラナ質量も持つ模型を調査した。そして、この模型における荷電レプトン・フレーバーを破る過程の予言を行なった。具体的には、μ→eγ過程の現在の実験的制限に抵触しないパラメータ領域を特定した上で、同領域でのμ→3e, μ+Al→e+Al, μ+Ti→e+Ti, Z→eμ, Z→eτ, Z→μτ, h→eτ, h→μτ過程の予言を行い、これらの過程の将来の観測可能性を議論した。 さらに、くりこみ可能なGUTのヒッグス表現に関して、最小限、あるいは、準最小限の場合を系統的に調査することで、高エネルギーにおけるYukawa相互作用の研究をおこなった。
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