研究実績の概要 |
私は山本託也氏(大学院D3)と共同して、格子2色QCD+QEDの 極めて広いパラメータ領域(SU(2)ゲージ結合定数:β=0, 0.25, 0.5, 1.0, 1.25, 1.5, 1.75, 2.0, 2.1, U(1)ゲージ結合定数: e=2, 3, 4, 5, 6, 8, 10, 12, 14, 16, 20, 24, 28 *10^-4, Aharonov-Bohm flux: φ=1, 1.5, 2, 2.5, 3, 3.5, 4, 4.5. 5, 6 *10^{-2}, 格子サイズ: V=4^4, 6^4)について数値シミュレーション(各パラメータ設定について1~4*10^4個の配位を生成)の実行とディラック演算子の厳密 対角化を完了した。ここで得られた膨大なデータからディラック個別準位統計を導出し、これが先にNishigaki-Yamamoto, PoS LATTICE 214, 067 (2014)で発表 した、遷移ランダム行列模型に基づく解析式によって完全にフィットできることを見出した。この手法により、2色QCD+QEDの広いパラメータ領域において、その 有効理論に含まれる2つの低エネルギー定数(カイラル凝縮Σおよび崩壊定数F)をそれぞれ10^{-4}, 10^{-3}の精度で詳細決定することに成功した。この成果 は、2色QCDをテクニカラー模型の候補として考える場合に、複合Higgs粒子の現象論的パラメータの決定への応用などが期待される。私たちはこの成果を Yamamoto-Nishigaki, Prog. Theor. Exp. Phys. 2018, 023B01 (2018)にて出版するとともに、私を含む日韓の主催者が韓国ACTCPにおいて主催した国際会議にお いて私が登壇発表した。この出版および国際会議発表により、本計画の当初の目的を達成することができた。
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