研究実績の概要 |
ランダム行列理論において, 有理型1階線形微分方程式系を満たす関数 (φ, ψ) によって構成される積分核 K(x, y) = (φ(x)ψ(y)-ψ(x)φ(y))/(x-y) をもつFredhlom作用素によって準位統計が記述される場合を考えた. Tracy-Widomは上の条件を満たす Kに対しては必ず, 個別準位の分布関数が連立偏微分方程式系(Tracy-Widom系)の特殊解として決定できることを示した. これに対して私は, Tracy-Widom条件を満たす K に対しては確率論における行列式点過程の理論で知られるJanossy密度に対する積分核K~も同条件を満たすことを証明し, これを用いてユニタリー不変なランダム行列集団の個別準位の連結分布関数(例えば第1および2番目に大きい固有値(soft edge)の連結分布や, 第1および2番目に小さい特異値(hard edge)の連結分布を解析的に導出した.
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