研究実績の概要 |
2018年度には背景ニュートリノがマヨラナ粒子であった場合を想定した研究を行った。電磁場と電磁気モーメントを通じて相互作用をしているマヨラナ粒子を表すトイモデルとして1個の中性スカラー場と1個の複素スカラー場が相互作用している模型を考え,相互作用による粒子数生成機構を研究した。初期条件でゼロの粒子数反粒子数非対称度から出発して粒子数の時間発展を計算することにより膨張宇宙の下で粒子数,反粒子数の非対称度を生成することができた。研究結果を論文に発表した。このトイモデルを輻射優勢の膨張宇宙に適応し粒子密度/エントロピー密度の比が10^{-10}-10^{-11}程度になるような模型のパラメータを求め、現実的な粒子数生成のモデルになりうるかを調べた。 3世代のシーソー模型に基づいたCP対称性の破れを研究した。シーソー模型のディラック質量行列に4つのゼロが存在する場合を解析し,一般の場合にはそれぞれ独立な3つのCPの破れの位相に対して,関係が存在することが分かった。 背景ニュートリノの物質中での振動現象を研究するためにニュートリノ振動に対する物質効果の準備研究を行った。上記以外に標準模型を超えるニュートリノの質量模型として自然に小さなディラックニュートリノ質量を生じる模型の低エネルギー有効ラグランジアンを研究した。 昨年度2018年3月に本科学研究費の補助をうけて行った研究会Phenomenology for Particle and Anti-Particle 2018(PPAP2018)の研究会報告をまとめ,素粒子論研究電子版に投稿した。 ベクターライククォーク模型のフレーバーチェンジング中性カレントを有効理論の方法で導いた。その効果をB中間子の物理で探索する方法を研究した。特にBs→μ+μ-の崩壊率とb→sγの崩壊率からグフレーバーチェンジング中性カレントに対する強い制限が得られることを示した。 また固有パリティを破るハドロン崩壊を研究した。
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