研究課題/領域番号 |
17K05421
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
関 穣慶 大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (60373320)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | mostly BRST exact演算子 / 開弦の振幅 |
研究実績の概要 |
前年度までに、開弦の2点振幅がnon-zeroであることを演算子形式で示すために、関-高橋はmostly BRST exact演算子を導入した。本年度は、この演算子について、さらに研究を進めた。まず、頂点演算子3個とmostly BRST exact演算子1個からなる4点相関関数を計算することで、3点振幅が得られることを示した。また、頂点演算子2個とmostly BRST exact演算子1個からなる3点関数と、頂点演算子2個とmostly BRST exact演算子2個からなる4点関数のいずれからも、同様の2点関数が得られることがわかった。次に、頂点演算子4個とmostly BRST exact演算子1個からなる5点関数を計算することで、4点振幅(Veneziano振幅)が再現されることを示した。しかしながら、いずれの場合も、相関関数から振幅を読み取る際に、符号因子の不定性が生じる。そもそも、演算子形式では、従来の振幅の計算方法でも符号因子を決めることはできない。そこで、以上の結果より、我々は、任意のn点振幅と、頂点演算子n個とmostly BRST exact演算子1個からなるn+1点相関関数を関係づける公式を提案した。 以前にPeschanski氏と共同で行った粒子の弾性散乱におけるエンタングルメント・エントロピーの定式化を応用し、本年度は、2粒子A+Bの始状態から、A+B'という異なる粒子の終状態への散乱に着目し、そこで生じるエンタングルメントについて、エンタングルメント・エントロピーや相対エントロピーや相互情報量といった量を定式化することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開弦理論におけるmostly BRST exact operatorを用いた振幅の理解を深めることができた。これは、今後、弦の散乱によるエンタングルメントを考えるためにも、有用な進歩である。 しかしながら、一方で、粒子の散乱に関するエンタングルメントについての研究は、思うように進められなかった。これについては、コロナ禍のために海外出張ができず、共同研究者(在フランス)とメールのやり取りはできたが、直接会って議論できなかったことが、主な要因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、コロナ禍があっても、徐々に海外渡航が解禁されるものと思われる。メールによる共同研究のやりとりに加えて、実際に会って議論を行い、研究を強力に推進していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により海外渡航が禁止され、海外研究者との研究打ち合わせ、国際研究会への参加などができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は、これを、リモート会議などのための機材補強などに有効利用したい。
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