研究実績の概要 |
Peschanski氏(IPhT, CEA-Saclay, フランス)と、以前に、共同研究で得られた弾性散乱の終状態2粒子間のエンタングルメント・エントロピーの定式化を応用し、引き続き同氏との共同で、非弾性散乱におけるエンタングルメント・エントロピーを考えた。その中でも、本年度は、入射2粒子A1+B1に対して、終状態として、A1+B1(2粒子、弾性散乱)、A2+B2(2粒子、非弾性散乱)、X(その他の多粒子、非弾性散乱)という3つのチャンネルを持つ非弾性散乱過程に注目した。これに対して、我々は、BialasとVan Hoveによる部分波展開の手法を用いて、これら2つの終状態2粒子のエンタングルメント・エントロピーの定式化を行なった。 弦の散乱によるエンタングルメントを考える上で、重要と考えられる弦の振幅についての研究も行なった。以前に、高橋氏(奈良女子大)との共同研究で、開弦の2点振幅を導出するために、mostly BRST exact演算子を用いた。本年度は、この演算子を閉弦の2点振幅の場合に応用した。そこでは、ゲージ固定のために、ゴースト数3を持つ一見奇妙な演算子が必要となってくる。我々は、実際に、このゴースト数3の演算子を構成し、ディラトンのディスク1点振幅の計算に用いたところ、その振幅を正しく再現することができた。これは、この奇妙な演算子の正当性を示す一例と考えることができる。そして、我々は、ゲージ固定のためにmostly BRST exact演算子とゴースト数3の演算子を用いて、閉弦の2点振幅を導くことができた。
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