研究課題
基盤研究(C)
有向グラフ上で定義された箙ゲージ理論をグラフ理論を用いて解析を行なった。特に、2次元超対称ゲージ理論に対して、分配関数を局所化の方法を用いて厳密に評価し、箙ゲージ理論における渦糸(ヴォーテックス)のモジュライ空間に関する新しい知見を得た。また、2次元のリーマン面を分割した離散空間上の超対称ゲージ理論を箙ゲージ理論の一種としてとらえ、その理論の構成および量子異常に対するゼロモードの寄与などの位相幾何学的な性質を、グラフ理論を用いて連続理論との対応を含め明らかにした。
超対称ゲージ理論
頂点同士を向きを持った矢印で結ぶ有向グラフによって箙ゲージ理論と呼ばれるタイプのゲージ理論を定義できる。一方、有向グラフ含むグラフ一般を扱う数学の道具としてグラフ理論がある。箙ゲージ理論がグラフを用いて定義される以上、グラフ理論を用いた解析を行うことができるものと期待されるが、これまで箙ゲージ理論に対してグラフ理論を積極的に活用することはあまり行われてこなかった。本研究は、物理的な解釈や連続理論との関係を含め、箙ゲージ理論の構成と解析においてグラフ理論が非常に有効であることを示すものである。