本研究では,可能な限り一般的にトップクォーク相互作用を拡張した有効ラグランジアンを利用し,素粒子物理学の標準模型の枠組みでは,観測できない程小さいと予言されているFlavor-Changing Neutral Currents(FCNCs)が引き起こすトップクォーク崩壊の一つである t -> q Z (q=u/c)過程に着目し,標準模型超える物理に起因するtqZ結合の制限を現有の実験結果及び将来得られるであろう実験結果を見据えて吟味した. 本解析では,一般的な拡張では,4種類生じる相互作用の1種類だけが存在するとしたり,それら相互作用の結合定数も複素数になり得るにも関わらず実数であるとしたりして行われてきた先行研究の仮定を設定せず,4種類すべての相互作用が同時に存在し,それらの結合定数も複素数であり得るとした. まず,Large Hadron Collider実験によって現在までに得られている t -> q Z 過程の実験結果から,非標準tqZ結合への制限付を行った.この結果,我々の行ったより一般的な解析では,先行研究での制限よりも制限が緩和されることが分かった.さらに,同時に2つの非標準的な相互作用が存在する場合が,3つ以上の非標準的な相互作用が存在する場合よりも,制限の緩和が大きいことが分かった.次に,High-Luminosity Large Hadron Colliderを念頭に,同様の解析を行った結果,先に求めた制限が約30%強化できることを予見できた.また,この研究を通じて,2つの相互作用の結合定数が大きめに存在し得る場合,それら結合定数の組み合わせ及び大きさの関係を定式化すことができた. ここでの成果は,特定に模型に依存する解析ではなく,一般的な解析による結果であるため,具体手な模型構築する際に,有用な情報となると考える.
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