研究実績の概要 |
重いフレーバー(チャーム, ボトム)におけるエキゾチックハドロンおよび核物質中のハドロンの課題として以下の研究を行った。 1. [ハイブリッドメソン]:異なる二つの重いフレーバーをもつハイブリッドメソン (クォークと構成子グルーオンの複合状態) の質量スペクトラムと崩壊モードを予言した。これまで同じ重いフレーバーをもつハイブリッドメソンについては研究されてきたが、今回はチャームとボトムを同時にもつハイブリッドメソンに焦点を当てた。その結果、質量スペクトラムや崩壊モードに新しいパターンが存在することを明らかにした。 2. [核物質中のチャームラムダバリオン]:核物質中の重いハドロンによる不純物問題の最も簡単な場合として、核物質にラムダチャームバリオンが存在するときの束縛エネルギーと核物質密度の変化を議論した。媒質変化を考慮して問題を取り扱うために、不純物の効果を経路積分に取り込むことによって有効ポテンシャルのループ展開として束縛エネルギーの評価を行った。 3. [核物質中の重いハドロンによるスピン-アイソスピン近藤効果]:重いハドロンは内部自由度としてスピンとアイソスピンの自由度をもつために、重いハドロンと核子の相互作用においてスピンとアイソスピンに起因した非可換相互作用が重要な役割を果たす。この結果、チャーム (ボトム) シグマバリオンやD, D* (B, B*) メソンについてスピン-アイソスピンによる近藤効果が生じることを繰り込み群によって明らかにした。 4. [P波核物質の新しい性質]:核物質のもつ物性の新しい性質を明らかにするためにLS相互作用に着目して中性子P波超流動がもつ次の新しい性質を明らかにした:(i) 高次項による基底状態の安定性, (ii) 表面トポロジー, (iii) ドメインウォール, (iv) 3重臨界点と新しいユニバーサリティ。
|