研究課題/領域番号 |
17K05436
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松尾 正之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70212214)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中性子星内殻 / 集団運動 / 密度汎関数理論 |
研究実績の概要 |
中性子星内殻を構成する核物質の集団励起を核子多体論の立場から解明することを目的に、原子核密度汎関数理論に基づいて、基底状態配位の分析と低エネルギー集団モードの分析を進めた。一つの結晶セルを球形として扱うWigner-Seitz近似を採用する点は前年度と同じであるが、今年度は、集団モードについては4重極励起に、また、基底状態については超流動中性子の近接効果に焦点を当てて研究を進めた。さらに、関連する準粒子共鳴についても研究を進めた。 4重極励起の分析から,超流動中性子の集団励起であるAnderson-Bogoliubovモードと原子核クラスターの集団励起である4重極形状振動が共存すること、かつ2つのモードの結合が弱いことが見出された。また、4重極形状振動は超流動中性子のフェルミエネルギーに大きく依存し、フェルミエネルギーの関数としてソフト化や不安定化が周期的に現れることも見出された。後者のメカニズムを分析し、非束縛準粒子状態が引き起こす共鳴シェル効果を解明した。この研究成果は学術論文にまとめ投稿した。 原子核クラスターが超流動中性子に及ぼす影響である近接効果の分析のためにセルサイズを人為的に拡大する計算を進めた。その結果近接効果が明瞭になり、近接効果の到達距離が約5fmと短いこと、また、この短い到達距離は超流動中性子の短いコヒーレンス長に関係していることが見出された。そのメカニズムについて分析を進めた。 非束縛s波準粒子と原子核の弾性散乱の散乱行列の分析から、対相関に起因する準粒子共鳴を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4重極励起についての分析結果を学術論文として投稿することができた。連続状態境界条件での計算よりもセルサイズの拡大が適当であると判断がついて、その方法を採用することにした。
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今後の研究の推進方策 |
近接効果の分析については、分析をさらに進め学術論文にまとめる。セルサイズの拡大については、基底状態計算だけでなく線形応答計算について数値計算コードの改良を進める。これにより、双極励起と4重極励起について包括的な分析を進める。準粒子共鳴についても分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行状況に合わせサーバー計算機の仕様を変更したところ予算金額より安価に購入できたため、次年度に研究活動費として使用する。
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