宇宙に存在する4つの相互作用のうち、クォークやグルーオンの間に働く「強い相互作用」は量子色力学 (QCD)と呼ばれる理論によって記述される。QCDの動力学は、初期宇宙や中性子星内部のような超高温・高密度環境下での相転移現象を記述する上で決定的に重要な役割を担う。 本研究では、これらの相転移を記述する上で欠かせない熱力学量などの物理量をQCDの第一原理数値シミュレーションによって解析する研究を行った。特に、最近開発された勾配流法と呼ばれる手法に基づくエネルギー運動量テンソルの解析により、高温物質や無限に重いクォークが置かれた系の精密解析を行い、これらの系に関する全く新しい情報を得た。
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