研究課題
最終年度である令和2年度の本研究の成果は,質量数130領域のテルル,キセノン原子核に対して,ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊の核行列要素を評価したことである。本研究では,殻模型計算と幾つかのタイプの核子対殻模型計算により得られる原子核波動関数を用いて核行列要素の数値解析を実行したところ,模型空間が小さくなるにつれて核行列要素が大きくなることを明らかにした。また本研究では,殻模型により質量数210領域の白金,金,水銀,タリウム原子核に対して精密計算を行い,偶偶核・奇核・奇奇核の励起メカニズムを明らかにした。この領域の核子間に働く相互作用の研究は現在まであまり行われてこなかったため,本研究では現象論的な有効相互作用を用いて数値解析を実行し,幅広い核種のエネルギー準位や電磁遷移の実験値を再現した。最終年度以前までの研究成果として,質量数80領域のゲルマニウム,セレン原子核,および質量数100領域のジルコニウム,ルテニウム原子核に対して殻模型計算を行い,エネルギー準位や電磁遷移を再現できることを確認すると共に,ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊の核行列要素の計算を行った。また,生成座標法により質量数80領域,質量数130領域の偶偶核の数値解析を実行した。計算で得られた波動関数を解析することにより,原子核の軸対称変形の効果を取り入れることでイラストバンドを再現できること,三軸非対称変形の効果を取り入れなければガンマバンドを再現できないことを確認した。その他の成果として,質量数130領域,質量数200領域の原子核について,パリティと時間反転対称性を破る相互作用により生じる原子核のシッフモーメントを計算し,中性原子の電気双極子モーメントの評価を行った。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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巻: - ページ: -
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