研究実績の概要 |
これまで、Squashed カルツア・クラインブラックホールと呼ばれるコンパクト化されたブラックホール解は、5次元の漸近平坦なブラックホール解をSquashing 変換によって得られることは知られていたが、より高次元の解を求める場合、大きな数学的な困難があった。しかし、論文、"Squashed black holes at large D", R. Suzuki, S. Tomizawa, Journal of High Energy Physics, 12 194 (2021)"では、奇数次元において、高次元極限法を適用し、コンパクト化されたSquashed ブラックホールを記述する解を求めた。従来、この方法の適用は、漸近平坦や漸近AdS時空に限られていたが、今回の結果は、カルツア・クラインブラックホールの構成にも高次元極限法が適用可能であることを示したとも言える。
ガウスボンネ項のような曲率補正項のある理論では、従来のカーシルドフォーマリズムと相性が悪く、回転ブラックホール解を求めることは非常に困難な問題であった。論文"Rotating black holes at large D in Einstein-Gauss-Bonnet theory", R. Suzuki, S. Tomizawa, arXiv:e-Print: 2201.11687 [hep-th]"では、高次元極限法をアインシュタインガウスボンネ理論に適用できることを示し、世界で初めて漸近平坦な回転ブラックホールの解析解を求めることに成功した。
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