研究課題
重い星の最期に起こる超新星爆発は、親星の質量が比較的重い場合、爆発が成功せず最終的にはブラックホールに潰れると考えられている。この場合、通常の超新星爆発と同様にコアバウンス後に原始中性子星が生成されるが、そこに親星の外層が徐々に膠着することでブラックホールに潰れる。特に、ブラックホールに潰れる直前は、原始中性子星の質量は仮定した状態方程式から決まる最大質量に達していると考えられるため、通常の爆発が成功する超新星爆発とは違い、最大質量に関わる情報が重力波観測からわかるという利点がある。また、同時に観測されるであろうニュートリノシグナルは、ブラックホールに潰れる瞬間に消滅するため、ニュートリノ観測を通して、その瞬間を知ることができる。そこで、このようにブラックホール形成を伴う超新星爆発後の原始中性子星からの重力波振動数の時間進化を系統的に調べた。その結果、親星のモデルや原始中性子星の状態方程式とはほぼ無関係に、基本振動数がそれぞれの時間に対応する原始中性子星の平均密度でうまく記述できることがわかった。つまり、ニュートリノ観測を通してブラックホールに潰れる時刻がわかり、その時刻での重力波振動数を用いることでブラックホールに潰れる瞬間、つまり最大質量となる原始中性子星の平均密度が観測的に決まるわけである。これは、高密度領域における状態方程式に対して強い制限を与えると期待される。さらに、重力的な浮力が復元力となる振動モードと基本振動の比は、原始中性子星のコンパクト度(質量を半径で割った量)で、うまく記述できることも見つけた。これにより、重力波の基本振動だけでなく重力的な浮力が復元力となる振動モードも観測された場合には、原始中性子星のコンパクト度も観測的に決められるかもしれない。
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