研究課題/領域番号 |
17K05463
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田島 靖久 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (50311577)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 粒子測定技術 / 原子核物理学実験 / 検出器 / カロリメータ |
研究実績の概要 |
平成29年度は研究の初年度であるため、プラスチックシンチレータの反射材の評価をする獲得光量の測定システムの構築と試験測定を行った。すでに構築済みのファイバー読み出しの測定は獲得光量が少ないため比較が簡単であるが、プラスチックシンチレータの直接読み出しでは獲得光量が多くなるがゆえ励起に利用する放射線源のエネルギー分布の影響が大きく、測定の比較が難しくなる。そこでセシウム線源による単一エネルギー電子を使った測定システムの開発をおこなった。これにより、プラスチックシンチレータの直接読み出しでの獲得光量比較を放射線源で精度よく測定できるようになった。確認実験として、現在一般的なプラスチックシンチレータの反射材として利用されているテフロン、アルミナイズドマイラーを巻いたプラスチックシンチレータの獲得光量の比較をおこなった。また東北大学電子光理学研究センターの陽電子ビームラインでも用電子ビームを用いた同様の測定をおこない、結果を比較し測定システムの性能の確認をした。 新しい反射材として初期に想定していた錯体ナノ銀粒子でいくつかの塗装手法を試みたが、塗布後の表面はきれいな鏡面状態に仕上げられた一方、肝心の裏側の塗布面(プラスチックシンチレータ面)についてはあまりきれいな反射面を作成することができなかったため、方針の再度検討が必要となった。再度市場調査をおこなったところ、想定していた錯体銀ナノ粒子は100度以下で焼成するものであったが、最近になって常温で焼成できるものも作られ、そのなかでも鏡面作成用の銀ナノ粒子塗料が複数開発されていることがわかった。今年度はこれらを取り寄せて比較・評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラスチックシンチレータの獲得光量の測定システムを完成させその性能の評価を終え、これからの開発の準備が整った。予定していた錯体ナノ銀粒子は充分な性能を出すことができなかったため、研究に多少の遅れが生じているが当初の想定内であり、さらなる性能が期待できる新しい素材の発掘もできたため、次年度からは遅れを取り戻し予定どおりの研究の進行で行ける見込みが立った。
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今後の研究の推進方策 |
新しい常温で焼結するナノ銀粒子を使ってプラスチックシンチレータおよびファイバー読み出しでの獲得光量の測定をおこなう。その測定結果を踏まえて各種光検出器(光電子増倍管、半導体光検出器等)を用いたプラスチックシンチレータの直接読み出しとファイバーを用いた読み出しの両方を使った粒子検出器を作成し、性能評価をおこなう。性能評価はこれまで作ってきた測定システムと平成29年度作成した測定システムの両方を使用して比較をおこなう。最終的には加速器施設においてビームを用いた測定をおこなう予定である。
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