平成31年度(令和元年度)は平成30年度後半に測定したプラスチックシンチレータ・波長変換ファイバーの発光波長、減衰時間の測定の解析を詳細におこなった。本研究の目標としている大型シンチレータのファイバー片側読み出しによる位置分解能の向上には信号の波形解析は必須で、その基礎データとなる減衰時間の測定は重要となる。今年度は市販されているプラスチックシンチレータ・波長変換ファイバー、押出成形で作成したプラスチックシンチレータについて、UVSOR(分子科学研究所極端紫外光研究施設)の放射光を使って単一光子計測法を用いた各発光波長での減衰時間を近紫外光、真空紫外光で測定した。 波長変換ファイバーの末端の反射面の性能を評価するための減衰長測定システムの構築もおこなった。このシステムでは測定の安定性・再現性を出すための仕組みが大変重要となる。そのためにファイバー端面の研磨方法、固定方法について試行錯誤の末、最適な方法を決定、また発光部分の光量の安定性についても測定による系統誤差が小さくなるような工夫を加えて設計製作をおこない、要求した測定性能を満たしたものを完成することができた。 これらの測定装置を用いて、反射材、出力波形、出力波長等を統括的に測定することができるようになったので、最適な反射材の試験をする環境を整えることができ、評価を開始した。並行してファイバー端での波形の測定から入射位置を測定するための基礎データの収集も開始した。
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