ミュー粒子はパイ中間子の崩壊で生成され、パイ中間子は陽子と原子核の相互作用で生成されるため、とり得る位置と運動量の領域(「エミッタンス」)が広がっており、電子や陽子などの安定粒子と比べて短い寿命と相まって、ビームとしての取り扱いが困難である。本研究成果を用いてミュー粒子を室温程度の熱エネルギーまで冷却することで、エミッタンスの小さい高品質のミュー粒子ビームが生成でき、素粒子特性の超精密精密測定における探針として、また物性における細密構造解析における探針として、様々な最先端研究での利用が期待される。冷却されたミューオニウム(正ミュー粒子と電子から成る原子状態)自身も、理論の精密検証に利用できる。
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