研究実績の概要 |
本研究の目的は, 宇宙線の大気蛍光観測におけるエネルギー決定精度を向上するため, 新たな大気透明度測定装置を開発することである. 時間とともに変化する大気透明度を測定するために, コンピュータ制御可能な赤道儀式架台に冷却 CCD カメラを取り付けた反射望遠鏡を搭載し, 標準星と呼ばれる恒星を追尾しながら光度変化を測定する. 大気透明度は光の波長によって異なるので, 目的とする波長の光度変化を検出するために冷却 CCD カメラには紫外線透過フィルターを装着する. 標準星の光度測定では天体観測用の Johnson UBVRI フィルターを使用する一方, 大気蛍光観測に必要なフィルターは SHOTT 社の BG3 フィルターである. これら二種類のフィルターについて, Nd:YAG レーザー (波長 355 nm) を使った測定によって, 紫外線透過率の違いを解析した. 神奈川大学内での撮影・追尾のテストでは, 一時間程度の間, カメラの設定を固定して撮像し続け, その間の光度変化を解析した. カメラの設定を最適化するために同様のテストを複数回行った. 前年度に望遠鏡と赤道式架台を大気蛍光観測実験が行われている米国ユタ州へ輸送した. 国内でのテストを踏まえ, 現地でも試験観測を行う予定であったが, 新型コロナウイルスの流行により出張を中止せざるを得なかった. 本年度改めて出張する計画であったが, 海外渡航が難しい状況が続いたため, もう一年延期することとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置を構築するための機材はほぼ購入済で, 神奈川大学において試験観測を実施した. 望遠鏡を始めとする機材を米国ユタ州へ輸送し, 現地での試験の準備を進めている. 赤道儀式架台による遠隔操作を想定した制御プログラムを作成する予定であるが, 開発は遅れている. 冷却CCDカメラによる撮像イメージによって, 大気透明度の時間的な変化を観測できるか解析を進めている.
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