研究実績の概要 |
本研究の成否は、8Li(α,n)11B反応で発生する低エネルギーの中性子線を検出できる検出器の開発にかかっている。今年度は、当初の予定通りに、6Liをドープしたガラスシンチレータと光電子増倍管を購入し、中性子検出器を製作した。β線源およびγ線源による試験を行い、十分な信号強度と遮光性能を確認し、放射線検出器としての動作確認を行った。 本実験では、同時に、比較対象のために高エネルギーの中性子線の検出も行う必要がある。高エネルギー中性子線検出のためのプラスチックシンチレータについては、高エネルギー研究所の協力により導入ができることを確認した。 合わせて、5umのNiフォイルによるビーム入射窓を持つ、4Heガスを封入するガス容器を製作し、ガスを封入できることを確認した。また、入射させる8Liビームのエネルギー測定のために、ガス容器内にSi検出器を導入できるようにフランジを追加した。 理化学研究所RIBFの研究課題採択委員会へ、本研究で提案している8Li(α,n)11B反応断面積の実験計画を提出し、本課題の実験が採択された。RIBFにおける低エネルギーRIビーム発生装置CRIBは、東京大学原子核科学研究センターが維持管理を行っている。東大のグループと打ち合わせを進め、実験を行う上での設備の運転や人員などについて、協力を得られる体制作りを進めた。 本実験で必要な8Liビームの生成を行うために、イオン光学や収量について慎重な計算を行い、実験において十分な統計量を得られる条件を求めることができた。
|