研究実績の概要 |
Indian Institute of Technology Hyderabad の学生2名とともにBs→τlとΥ(2S)→τl (l = e,μ) の解析を進めた。Bs→τlの探索では有意な信号はなく、Bs→τe, τμの分岐比の上限を求めた。Bs→τeの分岐比は本研究が初めての測定である。この結果を論文にまとめ、雑誌に投稿した。 Υ(2S)→τlについては、実データの解析後に予想外のバックグラウンド成分が発見されたので、解析方針を見直した。その結果、バックグラウンド抑制のための多変量解析の学習に問題が見つかったため、多変量解析の手法を見直しところ、以前よりも高い感度があることがわかった。再度、シミュレーションデータを用いて解析方法を確定した上で、実データの解析を行い、また必要な系統誤差の評価も行った。このモードでも有意な信号は見られなかったので、Υ(2S)→τlの分岐比の上限を求めた。得られた分岐比の上限は、従来のBaBar実験の結果を更新するものであった。現在、この結果を論文にまとめている。 この他、Υ(1S)→τlの解析の結果が出版された。また、Belle II 実験のARICH検出器を含む粒子識別装置については、Belle IIのデータを用いたキャリブレーションや粒子識別性能の研究を行った。 研究期間全体を通し、Belle実験データを用いてB, Bs→τlやΥ(1,2S)→τlなどでレプトンフレーバーの破れた中間子の崩壊の探索を行った。いずれのモードでも有意な信号は得られず、従来の測定よりも厳しい分岐比の上限を設定した。Belle II実験のデータを用いた結果を出すところまでは至らなかったが、Belle IIのデータを用いた研究も行い、今後の測定につなげることができた。
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