研究課題/領域番号 |
17K05475
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大西 幸喜 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (30332117)
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研究分担者 |
生出 勝宣 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (50150008)
杉本 寛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (70636448)
小磯 晴代 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80170174)
森田 昭夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (80353366)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビーム物理計算コード / 加速器の設計 / 多自由度・多粒子系の物理 / 最適化アルゴリズム |
研究実績の概要 |
初年度に行った(1a) 進行方向の磁場を段階的に平滑化し横方向にも高次の次数を取り込んだ磁場モデルの定式化の検証を行った。実際の加速器として、SuperKEKB加速器の最終収束システムを用いた。ここでは、ソレノイド磁場、鉄シールドを持つ強い超伝導導4極磁石などが存在し複雑なモデルとなる。ビーム粒子軌道の計算と実際の軌道との比較や4極磁場を摂動的に変化させてターン毎ビーム一モニターを用いて、ベータトロン振動の周波数変調から最終収束系におけるビーム光学系の検証を行うことができた (1b)。これらの研究の一部は海外(セルン研究所)の研究者との共同研究として発表されている。 (2b) 非線形領域のビーム光学系の誤差解析および補正については、SuperKEKB加速器を中心として、行うことができた。特に、運動量方向の非線形領域では、6極磁石の補正を用いて色収差ばかりではなく、新たに導入された「クロマティック位相差」を用いた補正が試された。 (2a) 線形加速器における低エミッタンス保存の研究については、初年度から継続中であるが、まだ最終的な結果が得られていない。しかしながら、RF電子銃の調整が、まさに進化を遂げたところであり、今後の研究に期待が持てる状況である。 (3a) 6次元の転送行列を扱うマッチング・コードの実装および試験については、セルン研究所の将来計画であるFCC加速器をモデルとして行ってきた。これについては、ほぼ完成に近いものが構築された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1b)および(2b)については、性能評価をすでに行い、ある程度結果を得ている。(2a)については、低エミッタンスのビームを供給するRF電子銃の開発が成熟度を増し、十分にビーム性能の試験を行える段階となった。(3a)については、初年度からの継続課題で、地道に進められてきた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究課題を継続し不十分な点を補強する。研究成果は逐次発表する。また、国際SADワークショップを開催し、国内ばかりではなく海外の研究者との交流を促進し情報交換をおこなう。このような活動を、加速器の総合計算コードであるSADの有用性を高める一助とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
課題の性質上、初年度は成果発表が少なく2年目以降で多くの経費を必要とする。課題の進行状況によって経費のプロファイルが均一化しないためである。最終年度は、国際会議等による成果発表が計画されているとともに、国内および国外の研究者との交流を通じて研究協議を行う予定である。
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