研究課題/領域番号 |
17K05475
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大西 幸喜 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (30332117)
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研究分担者 |
生出 勝宣 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (50150008)
杉本 寛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (70636448)
小磯 晴代 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (80170174)
森田 昭夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (80353366)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ビーム物理計算コード / 加速器設計 / 多自由度・多粒子径の物理 / 最適化アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本年度は、ビーム光学総合計算コードSADの研究発表を、第16回日本加速器学会年会(2019年7月31日から8月3日、京都大学吉田キャンパス)にて合同セッションで行うことができた。また、国際ワークショップとして、Workshop SAD2019を開催した。国内および海外からの研究者を一同に集め、加速器設計、加速器ビーム運転等の意見交換を行った。特に、SADだけではなく、様々な異なる計算コードの開発者または専門家を招聘することができ情報交換および、それぞれの利点や欠点を俯瞰することができた。こうした試みは、世界的に見ても稀有であり研究者の間でも好評であった。 計算コードSAD の開発研究では、非線形領域のビーム光学系の問題の一つであるX-Y結合の補正方法とその色収差の研究がなされた。LERにおいて回転六極磁石を用いた積極的な補正に至ってはいないが、次年度には試験する予定である。当初、ルミノシティ性能を向上させるクラブ・ウエスト方式が、SuperKEKB加速器では適用できないと思われていたが、衝突点垂直ベータ関数1 mmのビーム光学系の場合には適用できることがわかり、SADコードによる予測と実際の加速器による性能評価を行うことができた。本格的なナノ・ビーム方式におけるクラブ・ウエスト方式の実用化は世界初と言える。線形加速器におけるエミッタンス保存の研究については、当初予定していなかった陽電子ビームについて磁場の非線形性を取り入れることによって、SADを用いてエミッタンス増大を説明することができ、その補正に至ってる。しかしながら、電子ビームについてのエミッタンス保存については、研究途上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に挙げた項目については、ほぼ完了している。一部については、約8割程度の進捗状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度の研究課題を継続し不十分な点を補強する。研究成果は逐次発表する。また、国内ばかりではなく海外の研究者との交流を促進し情報交換をおこなう。このような活動を継続し、加速器の総合計算コードであるSADの有用性を高める一助とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
課題の性質上、初年度は成果発表が少なく2年目以降で多くの経費を必要とする。課題の進行状況によって経費のプロファイルが均一化しないためである。
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