本研究の目的は、K-pp束縛状態--反K中間子と陽子2個の強い束縛状態--の測定を通じて、量子色力学の予言する豊かな原子核の存在形態の理解を進めることである。本研究ではその主要な崩壊先であると予想されるπΣp崩壊を、Σ->πn崩壊検出を利用して調査するべく、銅とシンチレーターから構成される薄型中性子検出器のR&Dを行った。また、既存のJ-PARC E15実験データより、K-pp束縛状態のπΣp崩壊は位相空間の制限のために抑制されていることを見い出した。さらに、K-pp束縛状態生成メカニズム解明のヒントとなるΛ(1405)pの生成断面積が、K-pp生成に比べて10倍以上大きいことを明らかにした。
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