究極に薄い2次元物質であるグラフェンは、面と面をつなぎ合わせることで様々な幾何学構造を実現でき、その構造に依存して全く異なる性質を呈する。この研究ではグラフェンが作る様々な形の物質に着目し、その物理的性質を理論的に調べた。グラフェンが曲面となって空間を埋め尽くす3次元グラフェンでは、曲面のトポロジーによって全く異なる電気伝導特性を示すことを見出した。またグラフェン同士を回転させて重ねたねじれ積層グラフェンでは、モアレ干渉効果によって、もとのグラフェンとは全く異なる電子状態や格子振動が生じることを明らかにした。これらの研究は未来の物質科学とナノテクノロジーの基礎になることが期待される。
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