今後の研究の推進方策 |
<装置開発について> 波長可変フィルター式分光器は予想通りの性能を発揮したが、必要な波長範囲すべてをカバーするためには4枚のフィルターを切り替えて用いる必要がある。現状では2枚セット2個を手動で着け外す方式なので、実験時間の短縮の障害になっている。したがって早急にこれを全自動式に改める必要がある。30年度前半にはこの部分を完成させたい。集光光学系については、確実な方法として開口角の大きな放物面を使う光学系を構築する。これにより2倍程度の効率向上を見込んでいる。点対称楕円面鏡に関しては、発注までに仕様の詰めが必要なので、業者との打ち合わせを平行して進める。 レーザー光源については、出力の変動が非線形過程を通してS/N比の低下につながっているので、アクティブ・フィードバックによる安定化を試みる。 <物性測定> これまでに、Bi,Sn,Pd,Ni,Al,V,Znなどの薄膜試料の作製を試みたが、V, Znは製膜に成功していないので、作製手法を検討する。その他の金属についても順に作製を試みる。また、実際に発光測定を行う中で分かってきたことであるが、単なる光学研磨ややすり仕上げの試料でも測定が可能であり、Biでは品質のよい膜でも粗い表面でも発光寿命は余り変わらないという結果も出ている。したがって、今後は表面状態と発光特性の関係についても調査をしたいと考えている。金属における発光の寿命やスペクトルが何で決まっているのか、またそこからどんな情報が得られるのか、理論的な考察が必要と考えられるので、広くデータを収集するとともに、学会等で開示して、理論家の協力を得たい。
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