空間反転対称性を破る渦状磁気構造(磁気トロイダル秩序)を示すウラン化合物(UNi4B)の弾性応答を超音波位相比較法を用いて極低温・強磁場領域まで精密に測定した。その結果、ハニカム構造の中心に存在するUサイトが磁気トロイダル秩序下においても常磁性状態を保ちつつ四極子自由度を有することと、磁場方向に対してこの電気四極子の応答が強い異方性を持つことをあきらかにした。また、極低温において20 Tを超える高磁場領域(H || b)に未解明の秩序相(V相)を新たに発見した。これらの結果は、本系の渦状磁気構造とスピンの再配置転移において電気四極子が重要な役割を果たしていることを強く示唆している。
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