研究課題
重い電子系超伝導体CeCo(In1-xZnx)5では、亜鉛Znの混入によって超伝導転移点は抑制され、新たに反強磁性秩序が誘起される。その際、強いパウリ常磁性効果に起因して、超伝導転移点の減少に反し超伝導上部臨界磁場は抑制されないという、他にはない特異性を示す。また、ニッケルNiを混入した系CeCo1-xNixIn5では、Niイオン混入によって超伝導は同様に抑制されるが、この系では磁気秩序は発現せず、超伝導が消失するNi濃度(Ni25%)において非フェルミ液体異常が発現する。本課題では、それらの起源に解明するために、巨視および微視測定を駆使して磁場下での超伝導相や反強磁性相、非フェルミ液体異常の性質を調べている。本年度は課題の最終年度として、前年度までのZnイオンおよびNiイオン置換系の研究進展を踏まえ、イオン置換系に対する詳細なデータ解析および成果公表を行った。特に、広いZnイオン置換領域に対して極低温物性測定を駆使することにより、Zn置換によって発現する磁場誘起反強磁性秩序の量子臨界揺らぎと、CeCoIn5の超伝導臨界磁場近傍で発現する非フェルミ液体異常との相関を示唆する結果を得ることができ、これに関する詳細なスケーリング解析の結果を国際会議で発表した。一方、Ni置換系では、前年度に明らかにしたNi0-30%の広いNiイオン濃度領域における非フェルミ液体異常の磁場応答の詳細な解析を行い、成果を得た。それらの結果や、本課題に沿った各共同研究の結果は、それぞれ論文として公表する段階である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Physical Review Materials
巻: 4 ページ: 074404-1-8
10.1103/PhysRevMaterials.4.074404
Physical Review B
巻: 102 ページ: 134411-1-11
10.1103/PhysRevB.102.134411
http://ltphys.sci.ibaraki.ac.jp/activity-SLKRO.htm