研究課題/領域番号 |
17K05534
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三田村 裕幸 東京大学, 物性研究所, 助教 (60282604)
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研究分担者 |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パルス磁場 / 磁歪 / キャパシタンス法 / 数値位相検波 / Bi |
研究実績の概要 |
本年度は東京大学物性研究所仕様のパルス磁場中磁歪測定システムの更なる高感度化を実現した。測定手法はキャパシタンス法で、信号検出手段には数値位相検波法を用いた。昨年度本予算で購入した低雑音プリアンプの導入と信号処理法の工夫により、昨年度のΔL/L換算で10^-6程度だった分解能を10^-8程度に劇的に改善した。本年度はこれを用いて、Bi単結晶について60 T, 1.3 Kでの磁歪測定を行い、明瞭な変化を捉えることに成功した。本研究の内容は9月9日の日本物理学会秋の分科会にて研究代表者三田村が口頭発表を行った。また9月24日に東京大学物性研究所で行われたThe 16th International Conference on Megagauss Magnetic Field Generation and Related Topics (MG-XVI)においても研究代表者三田村がポスター発表を行った。本研究で用いられた数値位相検波に於ける信号処理法は前々年度に国際特許を出願したが、今年度はこれに関連して発案した放送・通信における新しい変調/復調方式を国内特許として出願した。 本年度はそのほかに過去に定常磁場中では明瞭な量子振動が観測されていた純良金属のAlの単結晶の磁歪測定を試みた。しかしながらミッドパルス(パルス幅36 msec程度)磁場中では高速の磁場掃引に伴う巨大なエディカレントにより発熱してしまい、量子振動を観測するに至らなかった。現在、より磁場掃引速度の遅いロングパルス(パルス幅1 sec程度)磁場の利用が純良金属の磁歪測定に有効かどうか検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたSmB6の特異な物性の研究はこれが不純物効果によるもので本質的なものではないとの結論が先行グループより出されており研究の目的が失われているものの、装置自体の性能は目標を実現しており想定通り今後別のざまざまなテーマに対して応用が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り装置自体の性能は目標を実現しており今後SmB6以外のざまざまなテーマに対して応用が期待できる。近年急速に技術が伸びているファイバーグレーティング法とは異なり、計測方向に対し接着剤を薄くできるという特徴を生かし高分解能(ΔL/L~10^-8程度)を必要とする分野に特化した研究を行なう。純良金属については従来のミッドパルス(パルス幅36 msec程度)磁場ではエディカレントが災いしてうまく測れなかったが、より磁場掃引速度の遅いロングパルス(パルス幅1 sec程度)磁場の利用を検討している。
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