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2017 年度 実施状況報告書

準周期系における非従来型強相関超伝導:非摂動論的アプローチによる解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K05536
研究機関東京工業大学

研究代表者

古賀 昌久  東京工業大学, 理学院, 准教授 (90335373)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード準結晶 / ペンローズ格子
研究実績の概要

2012年、強相関準結晶Au-Al-Yb 系において量子臨界性が観測されたことにより、強相関効果と準周期性の両方を取り扱うことが必要とされている。しかしながら、この準周期系に関する研究は、相関の無い系に関する解析が古くからなされているが、強相関効果についてはあまりなされていなかった。

本研究「準周期系における非従来型強相関超伝導:非摂動論的アプローチによる解析」においては、相関効果によってもたらされる現象の一つとして、準周期構造を持つ遍歴電子系を取り上げた。ここでは、良く知られているペンローズ格子を準周期格子としてとりあげ、その格子におけるハバード模型について調べた。まず、無限小の斥力相互作用によりどのような磁化分布が出現するのか調べるため、まずE=0の束縛状態がペンローズ格子中でどのように分布しているのか調べた。その結果、"クラスター"構造を形成していることを明らかにした。クラスター構造は、31サイトのものから無限の大きさのものまで存在し、それぞれのクラスターにおいて片方の副格子でのみ磁化が現れる。また、クラスターのサイト数、副格子の数等の特性は、インフレーション・デフレーションルールから厳密に得られ、これを基に熱力学極限における反強磁性の性質を明らかにした。ペンローズ格子は、フラストレーションのないバイパータイト格子であるため、強相関極限においては、自明な反強磁性状態が実現することが知られている。本研究では、クラスター構造に由来する弱相関反強磁性状態から、強相関反強磁性状態へのクロスオーバーについてハートレーフォック近似を用いて解析を実行した。ここでは、ペンローズ格子が五次元座標系で記述できることを利用し、磁化の二次元の直交補空間への射影を行い、ペンローズ系特有の磁気構造の変化について明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究「準周期系における非従来型強相関超伝導:非摂動論的アプローチによる解析」の初年度においては、準周期系特に、ペンローズ格子上の相関電子系に着目し、相関効果によって誘起される秩序状態の弱相関領域から強相関領域にかけるクロスオーバーについて明らかにした。

今後の研究の推進方策

強相関系における準結晶構造の効果についてこれまで二次元ペンローズ格子について議論してきた。より議論を深めるため、より物質に近い構造を取り入れ解析を行う。まず、理論的に取り扱うことのできる三次元準周期構造として、三次元ペンローズ構造について調べ、次元による物性の差異について調べていく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に実施した研究活動を、次年度の海外の国際会議にて発表するため、本年度残額が生じた。次年度の海外旅費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Role of spin-orbit coupling in the Kugel-Khomskii model on the honeycomb lattice2018

    • 著者名/発表者名
      A. Koga, S. Nakauchi, and J. Nasu
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 97 ページ: 094427 1-5

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.97.094427

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Charge Kondo Effect and Superconductivity in the Falikov-Kimball model with the Pair Hopping2018

    • 著者名/発表者名
      R. Shinzaki, J. Nasu, and A. Koga
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 97 ページ: 125130 1-6

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.97.125130

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interlayer Coupling Effect on a Bilayer Kitaev Model2018

    • 著者名/発表者名
      H. Tomishige, J. Nasu, and A. Koga
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 97 ページ: 094403 1-9

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.97.094403

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antiferromagnetic order in the Hubbard Model on the Penrose Lattice2017

    • 著者名/発表者名
      A. Koga and H. Tsunetsugu
    • 雑誌名

      Phys. Rev. B

      巻: 96 ページ: 214402 1-17

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.96.214402

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cluster Size Effects on Electronic Reconstruction in Quasiperiodic System2017

    • 著者名/発表者名
      R. Shinzaki, J. Nasu, and A. Koga
    • 雑誌名

      J. Phys.: Conf. Ser.

      巻: 809 ページ: 012022 1-4

    • DOI

      10.1088/1742-6596/809/1/012022

    • 査読あり
  • [学会発表] 反強磁性Hund結合をもつ3軌道Hubbard模型において現れる特異な量子相の安定性2018

    • 著者名/発表者名
      石垣耕祐, 那須譲治, 古賀昌久, 星野晋太郎, Philipp Werner
    • 学会等名
      第73回年次大会
  • [学会発表] ペンローズ格子上の電子状態2018

    • 著者名/発表者名
      古賀昌久
    • 学会等名
      第73回年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ペンローズハバード模型における反強磁性秩序2018

    • 著者名/発表者名
      古賀昌久, 常次宏一
    • 学会等名
      第73回年次大会
  • [学会発表] 希土類磁石の磁性に対する伝導電子の効果2018

    • 著者名/発表者名
      田口陽二郎, 那須譲治, 古賀昌久, 吉岡匠哉, 土浦宏紀
    • 学会等名
      第73回年次大会
  • [学会発表] 2層キタエフ模型における層間相互作用の効果2018

    • 著者名/発表者名
      富重博之, 那須譲治, 古賀昌久
    • 学会等名
      第73回年次大会
  • [学会発表] ハニカム格子上多軌道模型におけるスピン軌道相互作用の効果2017

    • 著者名/発表者名
      古賀昌久, 中内子竜, 那須譲治
    • 学会等名
      2017年秋季大会
  • [学会発表] 2軌道ハバード模型における励起子相と軌道秩序相の競合II2017

    • 著者名/発表者名
      石垣耕祐, 那須譲治, 古賀昌久
    • 学会等名
      2017年秋季大会

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公開日: 2018-12-17  

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