研究実績の概要 |
今年度は,EuCu2Ge2 を含む EuCu2(Ge1-xSix)2,EuTX (EuPtSi, EuPtGe, EuPdGe, EuIrP),EuCuP, EuCu2P2, EuSnP などのリン化物の単結晶育成を試み,基本的物理量測定,高圧実験を行った。 EuCu2(Ge1-xSix)2 について,Si 濃度を変化させて単結晶育成を育成し,EuCu2Ge2の反強磁性が 多結晶試料の報告と同様に x = 0.7 付近で消失することを単結晶試料でも確認した。さらに 磁気臨界点(QCP)直前の x = 0.45 と x = 0.6 において高圧下電気抵抗測定を行い,加圧によって QCP を迎えるとことを初めて明らかにした。このことは,この系で元素置換によって出現する磁気臨界点は,置換効果による電子状態の変化ではなく,結晶格子の収縮(体積変化)による効果で現れることを明らかにした初めての例であると考えている。この結果については,J. Phys. Soc. Jpn. に掲載が決定し,まもなく公表される予定である。 カイラル磁性体 EuPtSi については,反強磁性相内に閉じた特異な磁気相が存在することを見出し,ホール効果や磁気抵抗などの測定から,その詳細を明らかにした。この結果については,J. Phys. Soc. Jpn. に公表した。他の EuTX 化合物については,単相の試料を得られておらず,次年度でさらに育成条件を探索していく。 また,EuCuP についても,順良な単結晶を育成でき,高圧実験から常圧で 32 K の反強磁性転移温度が 8 GPa で 81 K に到達することを確認した。しかし,測定範囲内では QCP や価数転移を確認できなった。この成果は,J. Alloy. Compd. に投稿し,現在査読中である。
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