研究実績の概要 |
中原は超流動を用いて音響的なブラックホールの構成とアナログMinkowski時空の研究を行った.従来アナログ重力は平坦な時空上で研究されたが,我々は相対論的なGross-Pitaevskii方程式とYang-Mills場を用いて,曲がった時空上におけるアナログ重力を研究した.出現する音響的計量は,曲がった時空の計量と,アナログ計量のHadamard積で与えられることを示した.この方法により,2+1次元のMinkowski時空が3+1次元の反de Sitter時空から得られることを示した.また,中原はユニタリーt-デザインの研究を行い,ある条件の下で,U(d)の(t+1)-デザインは,U(d)のユニタリーt-群から得られることを示し,それを用いてU(3)のユニタリー2-群であるSL(3,2)からU(3)の3-デザインを,U(4)のユニタリー3-群であるSp(4,3)からU(4)のユニタリー4-デザインを求めた. また,この結果の物理への応用を求めた. 笠松はラビ結合した2成分BECのドメインウォールを解析し、ウォールがスネーク不安定性により、断片に分裂することの解釈を与えた。光格子上にランダム分布した長距離相互作用をもつハードコアボソンの非平衡緩和過程を研究し、相互作用が増加するにつれて、動的局在状態が実現することを明らかにした。Lee-Huang-Yang補正項をもつ2成分BECにおいて、量子補正項が強くなるにつれ、一様な状態から複数の量子液滴を動的に生成することを明らかにした。 高木は3He-A相のカイラルドメイン構造で,スピン流が発生し,壁の両側では磁化が発生し,既存の理論では保存則が敗れることから,磁化の自発的な減衰機構としてLeggett-Takagi緩和機構の適用を試みた.カイラルドメインにおいて生成消滅を観測したところ,対消滅が可能なものと不可能なものを見出した.
|