価数ゆらぎに(Valence Fluctuations)関する物理の研究は、20世紀後半に多くの研究の蓄積はあったが、それは主に静的性質に関するものであった。21世紀に入るころから、価数の2次的相転移に伴う臨界ゆらぎが電気抵抗や比熱の温度依存性を始めとするとする様々な物性に非自明な振舞いを生じることが次第に分かってきた。この研究分野は、20世紀を通じて多くの研究成果が蓄積されてきた磁性研究の分野に比べると研究の発展段階は初期の段階にあったと言える。本基盤研究(C)では、価数ゆらぎの物理をより広く「非磁性自由度のゆらぎ」に起因する異常物性を解明するという点に学術的意義がある。
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