2010年にノーベル賞を受賞したグラフェンは高いキャリヤ移動度等の優れた性質を持つが,これらの性質はグラフェンにおいて質量ゼロの相対論的ディラック電子系が形成されていることに起因する.ディラック電子を利用した次世代の超高速・低消費電力デバイス開拓には,基礎物性の解明が必須となるが,グラフェンは極微細な結晶で実験的研究が難しい.そこで本研究ではバルク結晶として初めてゼロギャップディラック電子系を実現した有機導体の実験的研究を行っている.従来の固体物理の枠組みを超えたディラック電子物性の研究は学術的意義が高いとともに,ディラック電子系材料の実用化に必要不可欠であり社会への貢献にも繋がる.
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