研究実績の概要 |
本研究の目的は、理論解析および大規模直接数値計算(Direct Numerical Simulation, DNS)により、乱流の大スケールのある種の時間不変性に起因する乱流の減衰則を解明することである。規範的な乱流である3次元非圧縮性一様乱流を対象に研究を行った。周期箱中の非圧縮性乱流の高精度高解像度のDNSでは、エリアスエラーを除去したフーリエスペクトル法および4次精度ルンゲクッタ法を用いた。 速度成分間に相関のある3次元非圧縮一様非等方性乱流において、外力の無い自由減衰乱流において初期インパルスがゼロでない場合を研究した。波数ゼロの極限に対応する遠方場において初期に非等方性や鏡面非対称性があれば、十分に乱流が発達しても、速度成分間の相関が時間的にほぼ一定となり、等方化したり鏡面対称な場に戻ったりしないことを理論解析により示した。さらに、外力がなく自由減衰する様々な一様非等方性乱流において、初期インパルスがゼロでない場合には、その非等方性や速度相関が永続することをDNSにより示した。このDNS結果は、上記理論解析の結果、ならびに、Yoshimatsu and Kaneda, Phys. Rev. Fluids 3, 104601 (2018)の理論予測と整合する。 さらに、DNSにより、十分発達した状態では、長さスケールの時間依存性が速度成分に依らないことも実証した。これはYoshimatsu and Kanedaの理論解析で用いた仮説を支持する結果である。
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